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【Finale】Finale v27.4:改善点の詳細(1)テクニカル・サポート的観点から重要なバグ修正

2024年3月26日に公開されたFinale v27.4日本語版アップデータは、前回v27.3でのJWプラグイン搭載のような華々しい新機能こそないものの、Finaleテクニカル・サポートにてこの数年間にわたり問題となっていたものも含め、いくつかの重要なバグが修正されている点が注目されます。今回の記事では、それらの詳細をご紹介します。



※Mac版は27.4.1.150、Windows版は27.4.1.116が最新版となりました。vXX.X.1はvXX.X.0を公開した直後に見つかった問題を修正したもので、Hot Fix版と呼ばれ、初期バージョン公開の概ね1ヶ月後に公開されます。



1.Mac版およびWindows版のバグ修正:


「コピー可能な五線スタイルは、スコア譜内でコピー&ペーストする時にパート譜にもコピーされるようになりました。」


本来、Finaleのスコアとパートは一方を修正すれば他方にもそれが反映されるというようにリンクしているはずですが、この問題のために五線スタイルに関してはその一貫性が損なわれていました。この修正は多くの方々に歓迎されるかと思います。


「組段の最初に入力されたタイが正しく描画され、消えなくなりました。」


Finaleでは、ふとしたはずみで何かの表示が消えてしまうけれど、描き直したり、ズーム in & out などで画面描画に何らかの変更を加えると復活するという、描画上の些細なバグがよくあります。これもその典型例でした。


実際に入力してみると、残念ながらv27.4でも一発で次の段へのタイは付かないのですが、ステップ入力ツールを使用してタイの始点となる音符が選択された状態で、そのまま右矢印キーを1回押してタイの終点となる音符を選択すると、タイが表示されました。



2.Mac版のみのバグ修正:


「装飾音符によって画面が空白になる問題を修正しました。」


これもお問い合わせが比較的多かった案件で、FAQ記事「特定の1ページのみ真っ白で、楽譜が表示されない」がこれに該当します。


問題は、このように装飾音符に連符を追加した場合に発生します。(画面は現象が分かり易いように、⌘+Aで楽譜を全選択した状態です。)


v26では、この問題はまだ発生します。もしこのような画面を見た場合は、楽譜のどこかに連符を追加した装飾音符がないかを調べ、見つけたらその連符設定を解除してください。


画面表示はズーム・レベルと変えたりと描画状態を変えると復活することもありますが、表示が消えてしまうという見た目の症状の深刻さが、製品に対する信頼性の低下を招いていたであろう点が大きな問題だったと思います。


「スコア・マネージャーの〔楽器追加〕ボタンが、macOS 14 Sonomaで正しく動作するようになりました。」


FinaleのMac版には、OS対応に関する不具合が昔から多く発生しています。そのためか新たなmacOSへの対応の遅さに関して不満の声を耳にすることがありますが、これにはFinale側だけでは解決できない構造的な問題があります。


この問題については別記事「アプリケーション開発とOS対応」で触れていますが、この問題を避けるには、とにかくOSの不必要なバージョンアップを可能な限り控えるのが手っ取り早い方法と思います。


開発終了となったv26以前のFinaleではこの問題が続きますので、FAQ記事「macOS 14 Sonomaでスコア・マネージャーから楽器を追加できない(Mac;Finale 27.3以前)に従って対応する必要があります。


「ページ・ビューで、連符のハンドルを問題なく移動できるようになりました。」


連符のハンドルをドラッグしても動きがスムーズでなく、狙ったところに配置できないという症状です。


v26以前でこの場合が発生した場合は、とにかく大雑把で良いので適当に配置した後、連符のハンドルを選択して上下左右矢印キーで微調整を行うことになります。



3.Windows版のみのバグ修正:


「〔組段マージンの編集〕ダイアログボックスと〔ページ・マージンの編集〕ダイアログボックスが画面外に表示される場合がある問題を修正しました。」


これも問い合わせが目立つ問題で、発生した場合はWindowsの画面倍率や解像度を変更して表示させるか、ダイアログボックスの表示設定をリセットすることで復活させるといった面倒な作業が必要でした。


v26以前では今後もこの問題が発生すると思いますが、表示を復活させるためにはおそらくそのような作業が必要になるかと思います。


「PDFに印刷する場合、保存されたファイル名はダイアログボックス上で保持され、各パート譜にパート譜名が自動的に入力されるようになりました。」


これは以前には機能していましたが、最近になって機能不全に陥り、しばらくそれが続いていたという問題です。ファイル名をいちいち入力し直さなければなりませんでしたが、これがv27.4で復活しました。


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以前、Finaleにおいてはアップデートにより新たな問題が発生したこともあったため、まだ27.4の導入に慎重な方もいらっしゃるかも知れませんが、弊社で検証した限りでは特に問題は見つかっていませんので、これらの重要なバグ修正を享受するためにも、早めのアップデートをお勧めします。


また、v26以前のFinaleは開発が終了しており、今後これらのバグが修正されることは基本的にないと思いますので、必要に応じてv27へのバージョンアップをご検討頂くのが良いかも知れません。


上記の修正点はいずれも表面には現れないプログラム・レベルでのものですが、次回の記事では、ユーザー・インターフェース上の変更があった修正点について、それらの詳細をご紹介しようと思います。

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