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執筆者の写真tarokoike

【Finale】Finale 27.4のアップデート内容と、Finale日本語版で作成したファイルを英語版で扱う方法(文字化け対策を含む)

【2024.10.4更新】Doricoクロスグレード版と共にDoricoクロスグレード版と共に入手したFinale v27英語版で既存ファイルを開いた際、文字化けするかも知れませんが、構わずMusicXMLで書き出し、Doricoにインポートして下さい。どうしても文字化けが気になる方は、この記事の後半「英語版で日本語版の記譜用フォントを使えるようにする」に、その回避策をご紹介しています。


【2024.4.11更新】2024年3月26日にFinale v27.4日本語版がリリースされました。この記事は部分的に内容が古くなりましたが、特に「2.」の情報は今後も使えますので、引き続き公開状態にしておきます。以下の記事も併せてご覧下さい。

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【目次】

2.Finale英語版を使う場合の注意



1.Finale 27.4英語版について


米国時間2023年11月29日に、Finale 27の無償アップデート版であるFinale 27.4の英語版がリリースされました。


この新しいアップデート版では、スコア・マネージャーで発生していた不具合の修正を含むmacOS 14 Sonomaへの対応、さらにMac版とWindows版ともに、いくつかのバグ修正が行われたとのことです。


Mac版およびWindows版のバグ修正:
  • コピー可能な五線スタイルは、スコア譜内でコピー&ペーストする時にパート譜にもコピーされるようになりました。

  • 終了反復記号括弧と反復記号括弧内のテキストが、スコア譜とパート譜に適切に追加されるようになりました。

  • レイヤーが交差または重なり合う場合、スペーシングが正しく設定されるようになりました。

  • 組段の最初に入力されたタイが正しく描画され、消えなくなりました。

  • リンクされたパートから五線を削除すると、重複した五線が作成される場合がある問題を修正しました。

  • 符尾が反転した音符に、付点が正しく配置されるようになりました。

  • 調号と拍子記号のある小節で、小節番号が正しく配置されるようになりました。

  • リアルタイム入力オプション・ダイアログボックスの受信指定にて、「すべてのチャネル」オプションが選択された状態を保つようになりました。

  • 連桁グループ内のいずれかの音符が選択されている時に、ショートカットを使用してそのグループの符尾を反転できるようになりました。

  • ファイルの最初の五線を削除するとHuman Playbackで発想記号を再生できなくなる場合がある問題を修正しました。

  • 2度音程の音符ペアを複数含む和音に追加したタイが衝突しなくなりました。


Mac版のみのバグ修正:
  • 装飾音符によって画面が空白になる問題を修正しました。

  • 全画面モードの開始時および終了時、および追加ディスプレイの使用時に、ツール・パレットの位置が保持されるようになりました。

  • Timesフォントが、フォント・リストに誤って設定されることがなくなりました。

  • 歌詞ウィンドウに記号をより簡単に挿入できるようになりました。

  • スコア・マネージャーの〔楽器追加〕ボタンが、macOS 14 Sonomaで正しく動作するようになりました。

  • ページ・ビューで、連符のハンドルを問題なく移動できるようになりました。

  • 印刷ウィンドウ・オプションが追加され、黒がTrue blackで印刷できるようになりました。

  • 歌詞とテキストの省略のためのキーボード・ショートカットが追加されました。

  • macOS 14 Sonomaでパレットの形状を変更するときに、パレットのツール・チップが適切に機能するようになりました。


Windows版のみのバグ修正:
  • 〔組段マージンの編集〕ダイアログボックスと〔ページ・マージンの編集〕ダイアログボックスが画面外に表示される場合がある問題を修正しました。
  • ファイルに小節を追加した後、プレイバック・コントローラーの設定が変更されなくなりました。

  • 歌詞メニューから歌詞が消える場合がある問題を修正しました。

  • PDFに印刷する場合、保存されたファイル名はダイアログボックス上で保持され、各パート譜にパート譜名が自動的に入力されるようになりました。


Finale v27.4.1のバグ修正(2023/12/12追加):
  • 符尾のない音符が存在する場合でも、レイヤーの相対位置が正しくなるようになりました。

  • レイヤー2のユニゾン音符が誤って左にずれる問題を修正しました。

  • Windows版のみ:サードパーティ製PDF印刷ドライバが機能しなくなる問題を修正しました。

  • Mac版のみ:JW Tools>声部の編集プラグインが正しい言語で表示されるようになりました。


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Finale日本語版はオリジナルの英語版をローカライズしたものという位置付け上、そのリリースは英語版の発売から平均で3〜4ヶ月後(早くて半月後、遅くて7ヶ月後)になるのが、v26以降のパターンでした。



今回は特にmacOSでの不具合対応も期待されていますので、もしお急ぎの場合は日本語版がリリースされるまでの繋ぎとして、英語版Finale 27.4を入手して取り敢えずそれを使うというのも一案ではないかと思います。


最近購入した日本語版Finaleのシリアル番号の中には、Finale開発元MakeMusic社のマ/Users/tarokoike/Desktop/240110_tenuto_en.png

イページにそのまま登録できるものもあり、その場合はMakeMusic社のマイページからFinale英語版のインストーラーをダウンロードし、ライセンス認証することが可能です。


MakeMusic社のマイページに登録できないシリアル番号の場合は、MakeMusic社のウェブサイトからFinale英語版の30日間試用版をダウンロードして使うことができます。


(Finale 27日本語版がライセンス認証されている環境であれば、Finale 27英語版は試用版であってもライセンス認証された状態で使用可能です。)



2.Finale英語版を使う場合の注意点


Finale英語版を使う場合、以下の2点に注意する必要があります。


(1)日本語版v27が既にインストールされている環境には、そのままインストールしない

そのままインストールすると、起動後にプログラムを構成するファイルが日本語版と混ざってしまい、一部メニューが別言語になるなどトラブルの原因となる恐れがあります。


(しかし間違って混ぜてしまっても、面倒ですがアンインストールして再インストールすれば治るので、あまり心配する必要はありません。)


英語版v27をインストールする前に、予め日本語版v27の一部のファイル名やフォルダ名を変えておき、英語版インストールによりこれらが上書きされないようにします。具体的には、以下のファイルとフォルダの名称を変更しておきます。


【Macの場合】


  • 「Macintosh HD/Applications」内「Finale.app」ファイル→「Finale_JA.app」などに変更

  • 「Macintosh HD/Library/Application Support/MakeMusic」内「Finale 27」フォルダ→「Finale 27_JA」などに変更

  • 「Macintosh HD/Users/(ユーザー名)/Library/Application Support/MakeMusic」内「Finale 27」フォルダ→「Finale 27_JA」などに変更


【Windowsの場合】


  • 「C:\Program Files\MakeMusic\Finale」内「27」フォルダ→「27_JA」などに変更

  • 「C:\Program Data\MakeMusic」内「Finale 27」フォルダ→「Finale 27_JA」などに変更

  • 「C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Roaming\MakeMusic」内「Finale 27」フォルダ→「Finale 27_JA」などに変更


(※変更を加えるAppDataフォルダは不可視のため、作業前にWindows側で不可視ファイルを表示する設定に変更します。)


これにより、Finale英語版のインストール時には元の名称のファイルとフォルダが該当の場所に生成され、Finaleは英語版が起動するようになります。


Finale日本語が起動する状態に戻したい場合は、逆に英語版のファイルとフォルダの末尾に「_EN」などと追記し、日本語版に追加した「_JA」を削除しておけば、元通り日本語版が起動するようになります。


(なお、英語版をインストール後、日本語版に戻した際も.musxファイルをダブルクリックすると英語版が起動してしまう場合がありますが、その場合は英語版をアンインストールした後に.musxで開くアプリをFinale日本語版に再指定すれば治ります。)



(2)英語版で日本語版の記譜用フォントを使えるようにする

Finale英語版では日本語版に特有の記譜用フォント「Kousaku」や「Chaconne」が含まれていないため、Finale日本語版でこれらの記譜用フォントを使って作成したファイルを英語版でそのまま開くと、以下のような警告が表示されます。

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このファイルのデフォルトの記譜用フォントに関するフォント注釈情報が見つかりませんでした。 既存のフォント注釈ファイルを選択しますか、それともFinaleにフォント注釈情報を自動生成させますか?

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該当の記譜用フォントがインストールされていれば基本的には「Auto-Generate(自動生成)」で開けますが、Finaleのバージョンや使用するOSによってはこれが上手くいかず、音符などが文字化けすることがあります。


個々の記号のシェイプの微妙な違いにこだわらないのであれば、単に「Document menu>Set Default Music Font」(日本語版で言う「書類メニュー>記譜用フォントの指定」)で記譜用フォントを英語版のMaestroなどに変更してしまっても良いこともあります。


しかし、KousakuやChaconneとその他の記譜用フォントは互換性が完全ではないので、記号によっては文字化けが治らないこともあり、この方法を使う場合は楽譜上に文字化けが残っていないかを入念にチェックする必要があります。


Finale日本語版で作成したファイルを英語版で扱うには、前述した記譜用フォントの変更ではなく、Finale日本語版の所定のフォルダにあるKousakuやChaconneなどの記譜用フォントの関連ファイルを、英語版の該当フォルダにコピーしておくことがお勧めです。


最初の設定が多少面倒ではありますが、この方法により、Finale英語版でもKousakuやChaconneが使用可能となりますので、こうした文字化けを根本から回避することができます。


この作業の前提として、Mac & Windows共に、Fontsフォルダ内に「Chaconne」「Kousaku Percussion」「Kousaku」「Rentaro」といったFinale日本語版の記譜用フォントがインストールされている必要があります。Chaconneはv25.0以前、それ以外はv27以前のバージョンのFinale日本語版をインストールしたことがある環境には、既にインストールされています。


※これはおそらくテクニカル・サポートの対象外となります。もし問題が発生した場合は、Finaleのクリーン・インストールを行ってください。


【Macの場合】


  1. Finaleを終了させた状態で、Macの「移動」メニューを開き、Optionキーを押して現れる「ライブラリ」を選択して、ユーザー階層のライブラリのフォルダを開きます。(階層は「Macintosh HD/Users/(ユーザー名)/Library」となります。)

  2. 「/Library/Application Support > MakeMusic」で、「Finale 27_JA」のフォルダから下記ファイルを「Finale 27」(英語版)の同じフォルダにコピーします。


  • 「Configulation Files」フォルダより「MacSymbolFonts.txt」(これは上書きコピーで構いません。)

  • 「Font Annotation」フォルダより「Chaconne.fan」「Kousaku Perc.fan」「Kousaku.fan」「Rentaro.fan」

  • 「/Library/Application Support/MakeMusic/Finale 27/Music Files/Default Files」より「Kousaku Font Default.musx」(これは単にFinale日本語版で作成したファイルを英語版で開くだけならば無くても良いですが、コピーしておくと英語版でKousakuの「デフォルトの新規ファイル」が使えるようになります。)


(※「Finale 27_JA」は、前述の(1)で書いた、リネーム済みのフォルダです。元からそういう名前のフォルダがある訳ではないのでご注意下さい。)


【Windowsの場合】


Windows版の場合は文字化けしないで開けることも比較的多いようですが、もし文字化けする場合はMacと同様に必要なファイルを手動でコピーしておくと良いかと思います。


  1. 変更を加えるAppDataフォルダは不可視のため、作業前にWindows側で不可視ファイルを表示する設定に変更します。

  2. 「C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Roaming\MakeMusic\Finale 27」で、「Finale 27_JA」のフォルダから下記ファイルを「Finale 27」(英語版)の同じフォルダにコピーする。


  • 「Configulation Files」フォルダより「MacSymbolFonts.txt」(これは上書きコピーで構いません。)

  • 「Font Annotation」フォルダより「Chaconne.fan」「Kousaku Perc.fan」「Kousaku.fan」「Rentaro.fan」

  • 「C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Roaming\MakeMusic\Finale 27\Music Files\Default Files\Kousaku Font Default.ftmx」(前述のように、コピーしておくと英語版でKousakuのデフォルトの新規ファイルが使えるようになります。)


(※「Finale 27_JA」は、前述の(1)で書いた、リネーム済みのフォルダです。元からそういう名前のフォルダがある訳ではないのでご注意下さい。)


これで英語版Finaleにて記譜用フォントにKousakuやChaconneを使えるようになり、文字化けも解消できます。


以前の記事で述べた通り、私自身はv27にて機能面で日本語版が英語版を超えたと考えたため、個人利用のFinaleもv27にて日本語版に乗り換えましたが、バークリー音大で購入したFinale英語版に慣れていたこともあり、v26まではこの方法でFinale英語版を長年使用して来ました。


しかしながら冒頭にも述べたとおり、開発やバグ修正のスピードにおいては、ローカライズ版である日本語版はどうしてもFinale開発元MakeMusic社が直接提供する英語版から遅れを取ってしまいますので、常に最新のFinaleを使うことを最優先に考える方は、かつて私がそうであったように英語版を通常使用するというのも選択肢かなと思います。

【お知らせ】

Finaleからの乗り換えを支援するDorico集中講座をZoomオンラインにて開催中。2期目となる2024年11月開講コースの開催が決定しました。詳細はこちらのページをご覧下さい。

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