前回の記事「プレイバックのテンポ設定:MIDIツールを使用」では、Finaleのプレイバックでのテンポ設定には以下の3種類があるという話をしました。
(1)プレイバック・コントローラーによるテンポ指定
(2)MIDIツールによるテンポ指定
(3)発想記号>数値を伴う速度標語※によるテンポ指定
(※例えば「♩=120」など。以下「数値速度標語」)
指定がプログラム上で優先される順位でこれらを見ると、
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(1)プレイバック・コントローラー <(2)MIDIツール <(3)数値速度標語
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となり、数値速度標語が最も強力に作用します。
数値速度標語が配置されている場合はプレイバック・コントローラーでテンポ指定ができませんので、アレンジ中にプレイバックを繰り返して最適なテンポを決めたいといった場合、数値速度標語が配置されていると、わざわざその数値を書き換えたり、数値速度標語を一時的に削除したりといった面倒が生じてしまいます。
その場合、数値速度標語のテンポ情報を削除することで、プレイバック・コントローラーでのテンポ指定を最優先させることができます。
具体的には、発想記号の設計ダイアログボックスの「プレイバック」タブを開き、「メトロノーム記号の数値を優先」のチェックを外して、「絶対値で指定」の数値を削除する、あるいは「0」と入力すると、プレイバック・コントローラーでのテンポ指定(この図の場合は200)が優先されます。
なお、数値速度標語は、文字発想記号の設計ダイアログボックスの「文字」欄に入力された数値を読み取って設定する仕様のようです。これは例えば音符なしの「180」だけでも、あるいは「あいうえお180かきくけこ」といった滅茶苦茶な記号を作成しても、数字さえ入っていればBPM=180でプレイバックされることからも窺い知ることができるかと思います。
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余談ですが、Finaleでの実効的なBPM数値の上限を調べた結果によると、数値はBPM=32767あたりがおそらくは正常動作の上限のようです。これを過ぎるとプレイバック・タブでの「絶対値で指定」欄の数値はマイナスが付いた謎の数字になり、テンポは数値により上がったり下がったりと制御が働かなくなります。(ご参考まで。)