Finaleでは「特定の楽器だけ音が出ない」というお問い合わせを頂くことも少なからずあります。これには多くの場合、以下の三つの原因が考えられます。
(1)GIFFの音量のばらつきが原因の問題
「音が出ない」楽器がパーカッションである場合は、ほとんどはFinaleに付属するサンプル音源Garritan Instruments for Finale (GIFF) の音量のばらつきが原因と言えます。
GIFFパーカッションの中には極端に音が小さい楽器があり、実際は音が出ているのですがミキサーの音量を最大にしても他の楽器に埋もれて聴こえないほどなので、「音が出ない」という問い合わせに繋がっているようです。
この場合は、該当する楽器だけSmartMusic SoftSynthへの切り替えをお試し下さい。もちろん音色は変わってしまいますが、元々パーカッションの音色はサンプル音源とMIDI音源の差が比較的小さいので、これは実用的な解決策かと思います。
これまでFinaleテクニカル・サポートにお問い合わせいただいた限りでは、以下の楽器がこれに該当するようです。
トライアングル、クラベス、ラチェット、カスタネット、スライベル、シェイカー、拍子木、カウベル、アゴゴベル
(なお、ドラムセット「Fusion Drum Kit」の音の小ささについては、2021年発売のFinale v27で改善されています。)
(2)GIFFのインストール不良が原因の問題
パーカッション以外の楽器で特定の楽器の音が聴こえない場合は、GIFFの再インストールをお試し下さい。
GIFFのインストール時には大量の音源ファイルが個別にインストールされる仕様のためか、ごく稀にインストール・エラーが発生することがあるようです。
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これまでの経験上、これは基本的にGIFFの再インストールで解決できます。古いGIFFはアンインストールする必要はなく、そのまま上書き再インストールで構いません。
(3)Finaleのバグが原因の問題
Finale v25、v26、v27では、バンク1のチャンネル1あるいは2に割り当てられた楽器だけ音符入力時に音が非常に小さくなるというバグがMac & Windows共にありますが、これは一度プレイバックすることで解消されます。
具体的には楽譜の一番上に置かれた楽器が問題となるケースが多く、オーケストラでピッコロやフルートの音が聴こえない場合や、弦楽四重奏でヴァイオリンの音が聴こえない場合は、これに該当する可能性が高いと言えます。
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もし上記のどれを確認しても問題が解決しない場合、念の為、ウィンドウメニューからスコア・マネージャーやミキサーを開き、特定楽器がミュートになっていないかもご確認ください。
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Finaleの場合はミキサーの他にスコア・マネージャーでも楽器ごとにミュート/ソロの指定ができるので、スコア・マネージャーを弄っているうちに手が滑って無意識にミュートにしてしまうと、後になってそれに気づきにくい場合もあるかと思います。
(外見上は初歩的なミスですが、実際にこれが原因であった事例も過去にありました。)