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「Finaleでは不可能なこと」のうち、Doricoでは可能なこと

執筆者の写真: tarokoiketarokoike

以前、「Finaleでは不可能なことと、その代替策:最近お問い合わせ頂いたケースから」という記事を書きました。今回はその続編で、当時取り上げたことはDoricoでは可能かどうかを調べた結果をお知らせしようと思います。


結論としては、以下の6項目のうち、1〜5についてはDoricoでは可能でした。


【目次】


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1. スコア譜とパート譜でリハーサルマークの大きさを変える


Finaleではスコア譜とパート譜がリンクしており、どちらかに変更を加えると他方でも自動的にその変更が反映されましたが、リハーサルマークついてはこの機能がネガティヴに作用する側面があり、フルスコアとパート譜でその大きさを個別に設定することが出来ませんでした。


そのため、特に大規模編成の楽曲においては、A3など大きな紙にプリントアウトする前提でフルスコアのリハーサルマークを大きくすると、パート譜ではリハーサルマークが大きくなりすぎてしまい、結果としてどちらかを別ファイルとして作り直したり、ダミーのリハーサルマークを別途用意したりといった面倒が必要でした。


Doricoでは、リハーサルマークを始めとした多くのオブジェクトのサイズは下パネルのプロパティにて個別に設定可能なため、このような問題は発生しません。

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2. 符頭の色の個別変更


Finaleには符頭の色を個別に変更する機能がなく、例えばCの符頭を赤にするという機能はスコア・マネージャーおよび「ファイル別オプション>音符/休符」の中にありますが、その場合は全てのCの符頭が赤になり、例えばC3だけ赤くするということが出来ませんでした。


Doricoでは、下パネルのプロパティにて符頭の色の個別変更が可能です。この譜例の1〜2小節目では、この方法で符頭の色を個別に変更しています。


Doricoでは「全てのCの符頭は赤」といった設定も、Finaleほどの自由度はありませんが可能です。この譜例の3〜4小節目には、そのようなカラー符頭を設定しています。


※これは浄書オプションで設定しますが、Figurenotesというシステムに基づいた特殊なカラー埠頭を選択するという形となるため、Finaleと異なり、ユーザー設定による色の変更ができません。

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3. フレットボードの横書き


Finaleでは、フレットボードの配置は縦置きのみで、これを日本の出版譜では一般的な横置きにすることができませんでした。そのため、どうしても横置きにしたい場合はこの譜例のCMaj7にあるように、画像ファイルとして切り出したものを回転させてグラッフィック・ツールにて再び配置するといった手間が必要でした。



Doricoでは、初期設定はFinaleと同様に縦置きですが、これを横置きに設定することも可能です。これは「浄書オプション>コードダイアグラム」に設定項目があります。

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4. 分数コードなどの横線の垂直位置調整


Finaleでは、分数コードなど横方向の線分(以下、横線)で分子と分母の記号を分けるコード記号を入力する際はアンダーバー「_」を挟みますが、この方法で入力した横線の垂直位置は分子側に偏り読みにくく、しかもその太さや上下位置を調整することができませんでした。


そのため、実用的な分数コード記号を表現するためには、変形図形の直線ツールを併用してコード記号を都度、自作する必要がありました。

※この譜例の1〜2小節目にあるポリコードも、Finaleではこれを入力する直接的な機能がないため、直線ツールを使用して自作しています。詳細は次項をご参照ください。


Doricoでは浄書オプションで横線部分の線幅や上下の位置関係を設定することにより、バランス良く読み易い分数コードを表現できます。

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5. ポリコードの入力


Finaleには、例えば「G/CMaj7」「Em7/FMaj7」のような、トライアドや7thコードの上にさらに別のトライアドや7thコードを配置したポリコード(polychords)を入力するための直接的な機能がありませんでした。そのため、前項の譜例にあるように変形図形の直線ツールを併用してポリコード記号を都度、自作する必要がありました。


Doricoでは、これらは「G|CMaj7」「Em7|FMaj7」と入力することで、楽譜上に記すことができます。

※これらのコード記号はプレイバックでも再生可能ですが、ヴォイシングの指定にはMIDIキーボードで入力する必要があり、Finaleのように入力後の編集はできないようです。



6. 装飾音符が置かれた加線の線幅変更


Finaleでは装飾音符が通常音符から倍率を変更して入力される仕様ですが、この倍率を音符と加線とで個別に制御することができず、結果として、加線の上で装飾音符が多用される場合、通常の音符と装飾音符とで加線の線幅の違いが目立ってしまいました。


この仕様はDoricoでも同様でした。ユーザーマニュアルにも言及がなく、UI上に設定項目も見つからないので、おそらくDoricoでもこれは統一ができないのだと思います。


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以前に書いた別記事「高度な編集に向けたDoricoの機能:Finaleの道具箱ツール&プラグインとの比較」に加え、今回の検証結果から、DoricoはFinaleに比べて全く遜色ない性能を持った製品であることを再認識しました。


個人的には、コード記号に関しては、分数コードやポリコード以外は極めて高度に発達した機能を持つFinaleに比べると、Doricoはまだ少し弱いと感じる部分があります。これについては現状と課題を取りまとめて、改めて記事化したいと思います。


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