Finaleは元々、米国のソフトウェア・メーカーであるMakeMusic社が開発している製品で、それが世界各国の販売元でローカライズされ、販売されています。
日本語版は、日本の販売元が国内市場に対応すべく独自のカスタマイズを施しています。それは主に以下の3点です。
(1)記譜用フォント
(2)ライブラリ(コード・サフィックスなど)
(3)テンプレート
今回は上記のうち、(1)の「記譜用フォント」についてご紹介します。
記譜用フォントとは、例えばト音記号やコーダ・マークなど、音楽記号に特化したフォントです。日本語版には独自の記譜用フォントであるKousaku、Rentaroが標準記譜用フォントとして搭載され、デフォルトの新規ファイルではこれが適用されます。
セットアップ・ウィザードでは、最初の画面で、一番上にある「1_出版譜風(Kousaku)」を選ぶと、記譜用フォントにKousakuを適用したファイルを作成することができます。
実際のところ、これは既に選ばれている状態になっているので、このまま何もせず「次へ」ボタンをクリックすると、自動的に「1_出版譜風(Kousaku)」が選択されます。
しかし、海外版のFinaleにはKousakuやRentaroは搭載されていないので、これらの日本語版専用の記譜用フォントで作成した楽譜要素は、海外版のFinaleでは文字化けしてしまうことに注意する必要があります。
これが原因で文字化けした場合は、「書類メニュー>記譜用フォントの指定」で、例えば英語版ならば英語版の標準記譜用フォントであるFinale Maestroを選び直すことで、そのフォントに変換できます。
殆どの場合はそれでOKなのですが、一部のフォントは正確に変換されないことがあります。
なので、万が一の文字化けトラブルを防ぐためにも、海外のFinaleユーザーとのやり取りの可能性があるファイルについては、予めMaestroなど、日本語版を含む全ての国のFinaleで昔から標準搭載され、より汎用性が高い記譜用フォントを使用してファイルを作ることをお勧めいたします。
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なお、もしやり取りする先のFinaleバージョンがv27以降に限定できる場合は、セットアップ・ウィザードの最初のウィンドウで「2_出版譜風(Finale_Maestro)」を選ぶことをお勧めします。
これは記号の種類を飛躍的に増やし、また異なるプラットフォーム間での音楽記号の互換性を確保したSMuFL(Standard Music Font Layout:記譜用フォント標準レイアウト、スムーフル)という新しい国際規格に基づいた記譜用フォントです。
SMuFLについては後日改めて取り上げたいと思いますが、概略については以下のウェブサイトをご覧ください。
▼SMuFLとは?:MakeMusic社のFinale開発チームが解説
▼Finale version 27:Kousakuファイル上でSMuFL記号を使用するには?