Finaleの特長の一つに、初期設定でのスペーシングの美しさや、そのカスタマイズの幅広さが挙げられると思います。
拍図表という機能を利用することで、必要に応じて一つひとつの音符や休符のスペーシングを手動調整することできますが、スペーシングの手動設定後に音符のピッチを変更したりすると、せっかく行った手動設定がキャンセルされ、初期設定でのスペーシングに戻ってしまいます。
これはFinaleにおいては以前から見られる問題ですが、自動スペーシング機能が意図せぬ形で働いてしまっていることが原因であるため、「環境設定>編集>自動スペーシング」のチェックを外しておくことで、この問題を回避することができます。
この「自動スペーシング」のチェックを外してしまうと、当然ながらFinaleの長所であるスペーシングは全ての場合において自動適用されなくなってしまいますが、範囲を選択して⌘+4(WindowsはCtrl+4)のキーを押すと、そこに自動適用の場合と同じ設定のスペーシングを手動で適用することができます。
なので、Finaleの操作に慣れて来たら、「自動スペーシング」のチェックを外した状態での運用が良いかも知れません。
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他の楽譜作成ソフトウェア、例えばDoricoやMuseScoreではこのようなことはなく、これはFinaleに固有の問題と言えます。しかし個人的には、Finaleのスペーシング機能の充実さを思えば、それほど不便でない回避策があるこの問題は特に気になりません。
かつて作曲家の吉松 隆氏がインタビューの中で「Finaleは車に例えるとマニュアル車みたいなもので、そこが良い」と言っていましたが、この問題はその言葉を思い起こさせます。Finaleはこのじゃじゃ馬的な性格で、玄人ユーザーを惹きつけているのかも知れません。