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執筆者の写真tarokoike

【All】楽譜作成ソフトウェアでオリジナルの練習教材を作る(1)iReal Proとの併用で、ジャズのコンピングやウォーキング・ベース・ラインの譜例を作る

単に綺麗な楽譜を書くだけではない、楽譜作成ソフトウェアの様々な可能性を追求する(ひいては楽譜作成ソフトウェアの普及を促進する)というのは、私がFinaleのマーケティング業務に携わって以来、最も大きな関心を寄せてきたテーマです。


その可能性の具体例として、今回はジャズ学習者に向けた、楽譜作成ソフトウェアを他のツールと組み合わせて活用することによる、オリジナルの練習教材づくりについて取り上げてみます。


ジャズ学習者に向けた練習ツールとして最も優れた製品の一つに、iReal Proというアプリがあります。


これは簡単に言えば「アドリブ・ソロの練習をするためのカラオケ・アプリ」ですが、画面に表示させた曲を単にプレイバックするだけでなく、そのカラオケ・トラックをMIDIファイルでエクスポートすることができます。


これはiOS版やAndroid版など、スマホで使う場合でも同様です。



iReal ProからエクスポートしたMIDIファイルを楽譜作成ソフトウェアにインポートすることで、iReal Proの画面に表示されたリードシートの裏でカラオケ・トラックとして流れていたバッキング・パートを、楽譜として視覚化することができます。


iReal Proが自動生成したピアノ・コンピングのヴォイシング、ウォーキング・ベース・ライン、ドラムのスウィング・フィールなどを視覚化した楽譜は、ジャズのピアノやベース、ドラムの学習者にとっては、とても良い練習教材になると思います。


このMIDIファイルを楽譜作成ソフトウェアに取り込んだ後は、以下のような編集を行うことになるかと思います。

  • 不要な五線の削除

  • ピアノ・コードの大譜表への分割

  • コード・シンボルやリハーサル・マークの追加

(もしプレイバックも必要な場合、ドラム・セットの五線編集も、トラックの統合、楽器の変更などの処理を行います。)


ひとたびMIDIファイルを楽譜作成ソフトウェアに取り込むことにより、例えばピアノからギターなど、楽器変更も可能となります。


ジャズ・ピアノのコンピングではクローズド・ヴォイシングも多用されますが、楽器の構造的にクローズド・ヴォイシングが苦手なギターではそのまま演奏できない場合も多く、音符を間引いたり、変更する必要が生じます。


この記事を執筆している2023年末の時点では、それを自動的に行ってくれる市販アプリは無いと思いますが、むしろ楽譜を見ながら一つひとつの音符のコード内での位置付けを分析しつつ、ヴォイシング全体をフレットボード上にどのように移植するかを自分で考えることが、学習の深化や独創性の付与に繋がるのではと思います。


また、ギターやベースには、お好みによりタブ譜を追加することもできます。特にジャズ・ギターのコード・ヴォイシングを学ぶ際は、音符の楽譜だけだと運指を考えなければならず大変ですが、タブ譜の活用はその効率化の大きな助けとなるでしょう。


こちらの動画は、そのようにしてピアノのパートをギターに変換した事例です。


iReal側では設定したリピート回数に従って最大30コーラス程度までリズムセクションを自動生成できますので、それを楽譜化すれば、ジャズのバッキングを学ぶためには十分な量の教材を自作することが出来るでしょう。


また、これらは電子ファイルとして保存できますので、ファイル管理さえしっかり行っておけば10年、20年という単位で使えます。もちろん必要に応じてプリントアウトも可能なので、紙の教則本よりも便利かと思います。



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これはMIDIファイルをインポートする機能を備えた楽譜作成ソフトウェアであればいずれを使っても可能で、例えば無料の楽譜作成ソフトウェアMuseScoreでは、このようなファイルを作成できます。


このファイルからピアノやベースのパート譜を表示させると、このような感じになります。




このクオリティを見る限り、とりあえず自分で使うための練習教材を作りたいという人であれば無料のMuseScoreでも十分かと思います。


iRealは、安くて1万円台、プロ向けでは5万円以上する楽譜作成ソフトウェアに比べると$15.99(¥2,200:2023年12月7日現在)と大変安価なので、無料の楽譜作成ソフトウェアMuseScoreと併用すれば、こうした自作教材に掛かるコストは殆どタダ同然と言えます。


一方、出版譜のような整然とした楽譜を作りたい、短時間で効率的に高品質な楽譜を作りたいといった場合は有料の楽譜作成ソフトウェアを使うことをお勧めします。本記事の動画ではFinaleを使用しているので、比較の対象として頂ければと思います。

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